「つばめ先輩、まだマリンのこと、受け入れてもらえませんか」
この話を振ったときのつばめ先輩は、いつも難しい顔をしている。きっと、俺が思う以上のことを考えてるんだろうなとは思うんだけど、俺には説得を続けるしか出来ないし、そうするしかない。
マリンは今現在ウチの班が最も欲しいプロデューサーとアナウンサー、そのどっちの能力も持っている。そりゃあ、朝霞先輩と山口先輩には及ばないかもしれないけど、俺たち1年生はきっとまだ伸びる。
だけど、つばめ先輩がアレルギーを患ってる幹部の班出身だったり、過剰な憧れを抱くつばめ先輩への下心みたいな物が班への加入を認めるのに後込みさせてるんじゃないかって。俺はそう考えていて。
「サドニナオンステージ、はっじまっ」
「らなーい」
情け容赦なくブチッとカットアウトで途切れたBGM。それと同時に割って入ってくるサドニナの悲鳴にも似た怒号。ボクはそれをヘッドホンをすることで物理的に遮りつつ、ミキサーの前に仁王立ちする啓子の陰に隠れる。
「Kちゃん先輩何するんですかー! さてはサドニナのかわいさを妬んでますね、嫉妬してますね!」
「そんなことしてる暇があるなら台本のひとつでも読み込みなさい! 何このマイク! 何このムダにキラキラしたリボンは! 元に戻しなさい!」