「あー、美味い。やっぱ一仕事終えた後のビールは最高だっていう」
「平日の真っ昼間から飲めるっていうのもいいね」
今までは広々としていた部屋のど真ん中に、こたつ机がやってきた。本当はもう少し早く買う予定だったんだけど、寒いうちに机を買うとこたつ布団も買わなきゃいけなくなるし、ずっとそこに籠ってしまうだろうから。こたつ机がこたつになるのは次の冬から。
その買い物をエイジに付き合ってもらって、組み立ても一緒にやる。今まではお盆に乗せたまま床に置いていた食べ物だって机の上に置ける。これでシャンプー台の一番上を取り外して使っていた簡易台ともおさらばだ。机っていいね。
そもそもどうして今までうちに机がなかったのかと言えば、それはきっとデスクがあったからだと思う。何て言うか、実家の部屋のような感じで、何もかもをデスクで済ませればいいかと。そんな感覚だったんだと思う。机が案外必要になるものだとは思わなかったし。
「ヒロ、春からは普通に4年生になるの?」
松江が突然切り出した話は、相手をするべきか無視するべきか。何なの、普通に4年生になるのって。言いたいことはわかんなくもないけどさ、もうちょっとなんかこう……まあ、言葉を選べないのが松江なんだろうけど。
俺は5月から1ヶ月ほど入院して、その後の療養で春学期を捨てた。自分では届けを出さずに授業を捨てたつもりだったんだけど、いつの間にか親が休学届けを代理提出していたらしい。そんなこんなで在学期間が少し足りない。
在学期間が足りないということは、来春で卒業出来なくなったということ。まあ、それは前々からそう言ってあったし、松江もわかっていたはずなんだろうけど。だからってこの質問はないでしょ。