「しかし、来月のシフトはどうしたものか。繁忙期にも関わらず人がおらん」
「俺と烏丸さんはまだ空きコマが少ないですし、冴さんは」
「土田はシフト希望すら出して来とらん」
林原さんがシフトを組み組み難しい顔をしている。俺はそんな林原さんにミルクティーを出して、自分は情報センターのスタッフ募集要項の張り紙を準備する。俺も去年、学生課の掲示板に貼られていたそれを見てここのバイトに応募したという経緯がある。
春山さんが卒業してしまうと、割といつでもここにいる人が林原さんだけになってしまった。先に言った通り、新2年の俺と編入組の烏丸さんは空きコマがまだそこまで多くは取れない。そうなると、新3年の冴さんに期待するしかないんだけど、最近は連絡すらつかなくって。
こーたなんかはたまに野坂を完璧超人って表現するンすけど、そんな野坂にも欠点っつーか、弱点みたいなモノは少なからず存在する。もちろんこーたのその表現も、イケメン詐欺とか偏屈理系男という蔑称を前提にしたネタなのはお察し。
「律、お前またBGM増えてないか」
「これはこないだネットでサクッと試聴したらイー感じだったンで次の日に買いに行ったんスわ。そしたらそこでさらにいいBGMもあってそりゃァー有意義な買い物に」
「菜月先輩に匹敵する買い方だな」
「なかなかいい感じですね。どんなタイプのアナウンサーさんにも無難に対応出来そうで。この曲だけで言えば、昼過ぎくらいの番組という体で使うのが適してますでしょうか」