「林原くん、隣いい?」
「構わんが」
「お邪魔します」
今日は洋食屋の方でピアニストとしてのバイトに入っていた。先程演奏を終えて、今はまかないをもらったところだ。オレの演奏終了と同じ時間にホールから上がった上野もまかないを持って席に着く。
上野の皿にはポテトサラダが乗っていた。おかしい。オレが見たときにはポテトサラダなどメニューにはなかった気が。ちなみにまかないは各々が好きなメニューを好き勝手に皿に盛るシステムだ。
「俺なりにお前のことを考えて選んでみた。使ってくれ」
「……あ、ありがとう」
朝霞クンから突然呼び出され、指定された場所に行くといきなり目の前に突き出されたシンプルな包み。何だろう、何かな。そわそわして止まらないよね!
朝霞クンが言うにはこれはホワイトデーのお返しで、バレンタインのチョコが俺のことを考えてくれてたのは伝わったからーとのこと。伝わったんだ、よかったー。
「朝霞クン、開けていい?」
「ああ」