表示されているのは、知らない電話番号。非通知ではない。無視をしたくてしているワケではないんだけど、8回コールで切れるのを3回繰り返して、現在4回目。どこまで粘るのか、見てみたいという好奇心が勝っている。
まあ、知らない番号からの電話には出ない方が後々面倒なことにはならないだろうし、このまま出なくたって別に全く問題はないんだ。ただ、ガチな間違い電話だったらどうすりゃいいんだとも思うけど。いや、それなら留守電にメッセージ残してくれたって。
相変わらず電話は鳴り続けている。8回コールは5回目に突入している。まあ、間違い電話だったにしてもそろそろ間違いであることに気付かせてやった方がいいかもしれない。緊急連絡かもしれないし。業者だったり詐欺集団だったらどうするとも思うけど。ええい、賭けだ。
「うっうっうっうっ……」
「おはようございまー……って、さと先輩どーしたんですか?」
「うっうっ……ユキちゃん、うたちゃんが〜」
「うたちゃんて、さと先輩にちっとも似てない美人でしっかりさんで秀才の妹さんですよね? そのうたちゃんがどうしたんですか?」
沙都子はさっきから誰彼構わず泣きついてこの様子。ボクや啓子はこないだからこんな調子の沙都子に付き合ってるんだけど、どうやら1年生にも矛先が向いた様子。ユキちゃんは慣れないからわたわたと慌てている。