HERE TODAY DIARY Season2

　年が明けて三日が過ぎて、お坊さんの年始廻りがあるというので、みんなで朝から今か今かと待っていたのだが、夜まで待ってもいらっしゃられなかった。母が亡くなって十日ぐらいだからかもね、と勝手に結論づけてみんなは帰ってしまった。誰かを待つ時間ほど長く退屈なものである。
　明日からは仕事初めで、私のひとりの時間が長くなる。また映画鑑賞を始めようかな。

　最近、表情が普通に戻ったねと人から言われる。実は母が亡くなってから坑うつ剤を飲むのをやめてしまった。理由は副作用があまりにもキツいのと、葬儀の忙しさで面倒になったから。気がついたら一昨日あたりから薬が抜けたらしく、気持ちに素直になれて穏やかに過ごせている。それで表情も変わって来たのだろう。
　私の鬱は希死念虜がそれほど深くないにも関わらず、ずっと心を閉ざしている状態だった。どんなに笑いたくても心底笑えず、どんなに悲しくてもなかなか泣けなかった。それを薬で持ち上げようとしたのに、思ったほど効果もないままだったのである。まあ、それは医師とのコミュニケーションが上手くいかなかったせいもあるだろう。そんな状態だったので、母の葬儀の間も無表情でただ呆然とやりすごす感じだった。悲しいのに涙が出ないというのは苦しかった。
　今、本当の自分が戻ってきているのを実感している。両親のいない慣れない生活で心身疲れてはいるが、少しずつ着実に一歩を踏み出してきている。あともう少しなのだ。