庭の桜のつぼみが僅かながら膨らんできた。県内はいわき市と福島市が開花宣言されたところである。我が家の開花宣言は相変わらず五月になってからになりそう。早く桜の匂いに包まれたい。
久しぶりに家でのんびりした。スカパーが二月の大雪以来アンテナが壊れたままで、修理をお願いしているのになかなか直らなくて困っている。
確か日本映画専門チャンネルで本木雅弘さん主演『遊びの時間は終わらない』が放送されていたと思う。前にも書いたが、当時高校生だった私がチョイ役で出ている。ほとんど福島でのロケで今は被災地になっている。
本木雅弘さんは新人警官役で、警察の合同訓練で銀行強盗の犯人役をしていたら、やっているうちに本気になってしまい逃げまわるストーリー。ヘリコプターを使い、豪快な逃走劇を繰り広げ、何故か一般市民も彼を応援してしまう(笑)。
市民は「バンザーイ!バンザーイ!」とモックンの逃走を讃える。私も「バンザーイ!」と言って見送るのである。
地元の球場でモックンがヘリコプターに乗り込むシーンを撮ったのだが、リハーサルからモックンは役に入り込んでいて、話しかけても一点をじっと瞬きもせず見ていた。共演の石橋蓮司さんや赤塚真人さんはそれぞれ違う形で自分の演技を次々と変えて監督のOKをもらっていた。
本編でいちばんの盛り上がるシーンが、モックンがこの球場から飛びたち、下にいるたくさんの市民のバンザーイを見つめるシーンである。
石橋蓮司さんは彼を捕まえて早くこの事態を止めるのに躍起。そのお芝居をそばで見てて面白かった。
休憩時間に私はモックンと同じテントで飲み物を飲んでいたのだが、その時も物凄い集中で自分の世界にいたようだ。台本は読まず、迷彩服の泥をはらうでもなく、ただじっとしていた。
きっと沖様もこんな風に作品に向き合ってたのだろう。俳優という仕事は他人になりきることだから、自分なりに描くイメージも頭にはあるのだろう。沖様は『太陽にほえろ!』で気難しいスコッチ役を演じて、精神的にも追い詰められ、自身でもどうすることもできないくらいになったそうだ。モックンも多分、沖様と同じように役に入っていたと思うとすごいし、無理しないでと思ってしまう。
あの撮影の夏の空は一生忘れられないだろう。映画に携われて幸せだった。
最近のコメント