HERE TODAY DIARY Season2

　震災から初めてお花屋さんにいった。新種のカーネーションが可愛い。いつもオーナーと大好きなお花についてお喋りするのだが、今回ばかりはあの日のこと。本震でお店にいたるところでヒビが入り、大切なお花がメチャクチャになったことが悲しくて、それを守ってやれなかったことが悔しかったと仰っていた。それから先週までお花が手に入らない状況が続き大変だったらしい。
　彼女は「こんなときこそ、お花に元気をもらわなくちゃ。この間まで泣いて過ごしたけれど、もう悲しんでばかりいられないわ」と強い決心をしたそうだ。その通り！もう悲しんでいるのは、おしまいにしないとやってられない。私もわかっちゃいるけど難しい

　昨日のヘリは大規模な捜索のための動員だったようだ。県内の捜索も始まったけれど、浜通りの原発周辺は手つかずのままという。ご家族の気持ちを思うと切ないね。早く原発を何とかしてほしい。約90km離れていても、誰も彼も心労が激しい。こんな福島県は後にも先にもないことだろう。

　午後、チャンから「君の好きなジュース、やっと入荷したよ！買い物のついでに取りに来て待ってるから」との知らせに飛んでいった。今度こそ間違いなく彼に会えると確信していたので、お洒落して向かった。
　お店に着いたら彼はいなかった(笑)。商品は八割ぐらい揃ってきていた。お客さんもいっぱい。とりあえず店内に入ってみると、いつもの怖そうなオバサン店員がすぐに現れて「先生、これ店長から！」と、私の大好きな果汁100%のオレンジジュースをくれた。肝心のチャンは、お父様がケガをしたと連絡があり向かったのだという。それは大変だと心配していたら、彼からの着信があり「ごめんね。せっかく来てくれたのに…。親父のケガは大したことなかった！みんなが騒いで大ごとになってただけだった」とのこと。彼の家は何かあると“お兄ちゃん”を頼りにしている家庭なようだ。またもやすれ違いで会えなくて残念だったけれど、お父様がご無事で本当に良かった。
　しかしチャンは少しも落ち着けない毎日だ。いったいいつのんびりできるのか…。疲れてるはずなのに、大きな余震があったりするとすぐに「大丈夫？」と私に電話してくるし、お店の雑用もきっちりやってる。彼が倒れたりしたらどうしよう…いつも心配

　未だに郵便物がまともに届かないのに、通販のカタログがひょっこり届いた。いつ発送されたものか確認したら、三月十日の日付が！震災の前日に送ったのねえ。確か仕事の資料もその日に投函されたはずなのに届いていない。仕事は当分、こんな状況だから出来そうにない。両親亡きあと、やっと執筆を再開させた矢先だったのに…。困ったものである。




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