スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

アル クロフト/孤独の産声

頬が痛い。

転んだ時の痛みは直ぐに忘れてしまうのに、人に叩かれた時の痛みは鋭く肌に刺さって何時までもじくじくと痛むものらしい。残像が見える。針金のように細い腕が降り下ろされるのが今もまだ見えている。

近付けば拒否される。

しかし、何も叩かなくてもいいじゃないか。

あんな幽霊のような同室者のことは忘れた方がいいって分かっているのに、どうして私はそうできないのだろうか。

これから部屋に戻るのに。

どんな顔で就寝の挨拶をすればよいのだろうか。ノイウェンスは謝罪するのだろうか。あの砂を噛むような血の謝罪をまた何度でもされるのだろうか。

それではどちらが悪いのか分からない。

悪いのは誰?

私は悪くない。

食堂で叩かれた時、私は咄嗟に耳を済ましていた。

『アルを叩いた』
『ノイウェンスがアルを叩いた』

私にはその声が聞こえていた。

周囲の人間がノイウェンスを批難して私を擁護する声を聞いて心底安心した。ノイウェンスが貶められ自身が護られるのを喜んでしまう私は最低なのだろうか。叩かれて拒否されて歩み寄られることはなく冷たい目で見られて罵倒と謝罪を繰り返されて、そして、そして。

そして。

あの、微笑みを。

「もう帰った方がいいですよ」

寮長は言った。手には温かい紅茶を持っている。

「泊めて下さい」
「本当に今日は珍しいですね。この時間なら、きっとみんなもう寝ていますよ」

だから大丈夫だと言うのだろうか。

「アルなら大丈夫って、寮長も思いますか」

ノイウェンスと同室になった時、寮長は「何かあったら、ここでなんでも話して下さい」と言った。みんなは「アルなら大丈夫」と口々に言った。

一言の挨拶をするのに何月かかったか誰も知らないだろう。

寮長だって知らないだろう。

やっと、初めて、食事に誘って、やっと、それから。なんだ、こんな簡単なことだったのか、って思えたのに。初めて。私はただ、ノイウェンスと話したいだけ、そう思ったのに。

ノイウェンスに叩かれた。

頬には爪の痕まで残っている。

ノイウェンスは酷い。

「私はそれ程、出来た人間じゃないのに」

当然過去には何人もの同室者がいただろうけれど、ノイウェンスに叩かれた人間はきっと私が初めてではないか。きっと私は寮長を裏切った。私は期待外れの使えない優等生だった。

私はノイウェンスを憎んでいる。

身勝手でエゴで我儘で注目されたがりで悲劇の物語の住人振って病弱振って人間嫌い振って不幸で不健康で不健全で針金の様に細く薄く窶れて可哀想な幽霊のように白く小さな子供みたいに気を引きたがるノイウェンスが面倒で煩わしくて堪らなく憎い。

私だって、不幸だ。

「人は、みんな同じじゃないんですよ」

寮長は言った。

「そんなことは、知っています」

そんなことは知っている。

同じならここまで憎めない。

同じならノイウェンスが私を叩くことはなかっただろう。

同じならピノだけが讃えられることはないだろう。

同じなら。

同じだったら。

私とピノが同じだったら。

「私は、自分は多くの人に愛されていると思っていたんですよ。でもね、今日、そうじゃないって気付いたんです」
「うん」
「私が多くの人に愛されようとしてきたことは、実は、とんでもなく愚かでのろまなことだったんです。誰も私を愛さない。誰も私を愛してない」

言いながら私は泣いていた。

涙がほろほろ流れて頬を濡らす。

悪いのはノイウェンスだと思っていた。悪いのはノイウェンスだと思いたかった。

違った。

間違っていた。

悪いのは、私だった。

「うん」

寮長は私にハンカチを渡して、優しく抱き寄せた。

「私は、きっと、ピノに、なりたかったんだ」
「ピノが好きなの?」
「好きじゃない」

寮長はふふっと笑った。

「紅茶を飲んで。身体が温まります」

寮長は私を離して紅茶を寄越した。寮長の淹れる紅茶は透明感があってすっきりした味がする。

「ノイウェンスは、私のことを嫌ってる」

寮長は意外そうに「そんなことないよ」と言って、更に続けた。

「ノイウェンスは、きっと、ピノのことが好きなんですよ」
「誰だって、好きですよ」
「君は?」
「寮長は?」

寮長は笑顔で「ピノを好きだし、アルのことも好きです」と言った。それは聖母の愛みたいな輝きがある言い方だった。百合の精霊が降りて寮長を輝かせる慈しみの声。

私はまた涙をこぼした。

寮長は私を見ている。寮長は私に話している。寮長は私に触れている。この惨めで愚鈍な私を。

「私はノイウェンスのこともピノのことも好きだと思っていたんです。でも今日、分かったんです。私が好きで大事に大事にしてきたのは、私自身のことだけだったんです。そんなことだから、誰も私を見なかった。そんなことよりみんなはピノとお喋りしたがってた」

違ったんだ。

私が望んだこととは全く違ったんだ。

結局、私は、叩かれたって、誰にも、相手にされない。

私の頬の痛みを誰も知らない。

私にできた傷が膿むのに誰も気付かない。

誰も。

誰も。

いや違う。この寮長を除けば、誰も、知らない。

「アル」

寮長はそう言って引っ掻き傷のある私の頬を包み込むように触れた。その傷と今日の私の感傷との関係は寮長には話していなかったので少し驚いた。

「痛いですか」

痛いのは、心。

「痛くないですよ」

痕だって直ぐに消えるだろう。

「それは良かった。でもね、アル。私には君が痛くて痛くて泣いているように見える。私には見えないところに、沢山の傷があるんじゃないのかな」
「そうかも」
「多くのひとに愛されたいのは私も同じだよ。でも大切なのはそうじゃなくて、確かに誰かに愛されていることなんだよね」
「そうかも」
「私は君を愛しているよ、アル」

寮長はそう言っている時もずっと私の頬に触れていた。私の身体を引き寄せて、それでも頬に触れていた。

「つらかったね」

それまでお上品に泣いていた私のギリギリの理性はその身を隠して、私は醜く嗚咽した。身体の中のくすんだ感情を荒く削り出して洗い流される気がした。

私はピノになりたかった。あの正義の人になりたかった。

知って欲しかった。

見て欲しかった。

ピノが最悪の岩頭に立って地獄を見下ろしたことを私は知っている。ピノは極めて悪者だった。でもそれが気付くと正義に変わって、そして音もなく消えていた。

ピノの耐えたことは私には耐えられない。ピノは確かに特別だった。

だけど。

分かっているのだけれど。

ピノが正義のヒーローであったように、私もヒーローになりたかった。

拙く醜悪な願望が初めて露顕しただけでそれは常に私の中にあっただろう。みんなはそれを知っていたのだ。

好かれないのは当然のこと。

愛されないのは当然のこと。

寂しい。

温かい。

なんで。

どうやって。

何故この人は私の欲しい言葉を見抜いてしまえるんだろう。

「大丈夫だよ。心配はいらない」

悔しい。

私は醜く嗚咽して泣いて泣いて泣きながら、赤ん坊みたいに安心して寝た。


【孤独の産声】
続きを読む

姉のことが好きだけど言い出せ無い奴wwwww

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 03:56:22.04 ID:J6Pas1Uk0
いるよな・・・?


3:◆NlP.AOZORA:2013/06/19(水) 03:56:46.77 ID:c78DCW0o0
姉が居ない
妹も居ない


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 03:56:54.24 ID:XSjg07c9P
いない


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 03:58:07.71 ID:19Xs0WDCP
姉も妹もいねーよ
これだけでホントつまらん人生だわ



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 03:59:35.04 ID:GWDN8dDvT
好きと言えないままアイツは嫁に行っちまった


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 03:59:55.28 ID:aglwC0aZ0
糞生意気な妹が1人
かわいいんだが姉が欲しかったなあ


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:01:55.97 ID:bdgGcbPTP
じゃあ姉と妹やるわ
生き地獄だぞ


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:05:03.55 ID:J6Pas1Uk0
おれのねーちゃんかわいいんだよー


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:05:55.35 ID:J6Pas1Uk0
趣味が似通っててFPS好きなところとか酒好きなところとか微妙に人付き合いに難ありなところとかよくわかるんだよー


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:07:27.33 ID:aglwC0aZ0
妹嫌いじゃないが姉が欲しい
欲しいよおおおおおおおおおおおおおお


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:10:34.19 ID:bdgGcbPTP
やるから引き取り来い
お前らの大好きな処女だぞ


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:10:50.69 ID:J6Pas1Uk0
姉の良さ語っちゃうぜ?背中っくらいだけどおっぱいおっきくてちょっとダルそうな目してんの!
眼鏡が似合ってマジ可愛いの
天然が素なんだけど元の頭の回転割といいから会話してて楽しいしたまに下ネタ話とかすると姉なのにすげえ共感できんの!
あとお酒の話もわかるしはあああああああんんn


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:11:12.56 ID:Dd8IaGV50
俺の妹たまに小遣いくれるぜwwwwwwww


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:11:28.98 ID:RYo59Q1t0
聞いてもないのに自分の女兄弟のこと語り出すやつwwwwww


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:11:59.93 ID:d6SWwRg30
妹やるから姉くれよ


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:12:44.94ID:aglwC0aZ0
うらやましけい


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:13:19.38 ID:J6Pas1Uk0
だって可愛いしたまにカッコいいしでまじもうおさえらんねえってたまに口からあふれ出てくるんだよおおおお
でも言ったら間違いなくあっちは普通の弟として見てるだろうしぎくしゃくするだろうしいえねえんだよおおおお
一度彼氏作ったらしいけど微妙だったから振ったらしい俺ならねーちゃんの言ってる条件に合うよおおおお


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:15:46.99 ID:RYo59Q1t0
お前は>>1だからいいよ語ってw


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:17:32.48 ID:aglwC0aZ0
こずかいねだったり
悩み事相談してきたりする妹まじ可愛いんだが
俺もこずかいねだったり悩み事相談とかを姉にしてみたいよおおおおおおおんがああああああ


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:19:21.36 ID:J6Pas1Uk0
ありがとうかたるわ
だからといって細かく語るとねーちゃんもたまぁに2chみてるらしいし特定されそうでやばいからいえないもどかしい


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:20:24.91 ID:XkMRbW5e0
引くわぁ


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:22:01.70 ID:J6Pas1Uk0
だよな、ふつうの人ならこう引くわけよ

でもだからと言ってなかったことにはしないわけですよwwwwwwww


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:22:46.96 ID:J6Pas1Uk0
あのさ、俺さ、好きな人とかずーっとできたことなかったわけよ
今思い返してみると脈あった奴とか何人かいたんだけど全然気づかなくってスルーしてきたんだ


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:23:15.28 ID:4QC2lBSx0
ねーちゃん成人してんなら言っても平気


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:23:44.85 ID:J6Pas1Uk0
だから自分には恋愛感情なんて無縁だろーとかおもってたわけよ
DT仲間だと思ってた友人にも彼女実はいたりしてさ
もしかして俺も好きな人くらいいるんじゃねーかなーとか思ったわけよ


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:24:42.13 ID:J6Pas1Uk0
俺もすぐ成人する

だからさーもしかしたら自分が好きな人もしくは自分に好意を寄せてくれてる人とかいなかったかなーって思って考えてみたわけよ
ゆっくり一週間くらいかけてさ


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:25:34.93 ID:J6Pas1Uk0
そしたらなんだ
自分の好みとかさ
話してる時ワクワクドキドキするのとかさ
一緒にいたいなって思うのが恋愛だって聞いててさ
そしたらそれが姉ちゃんだったんだよね


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:26:21.88 ID:DoYwnWU70
ここはピンク板じゃねえぞ


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:26:29.51 ID:J6Pas1Uk0
いやーさすがにないだろwwwwwwwとか
ちっちゃいころから姉と遊んでたからそれに影響されただけじゃねwwwwとかおもったんだ
あとは今までそういうのしたことないから身近なひとに投影してるだけじゃねとか


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:27:41.88 ID:J6Pas1Uk0
ピンクな展開は無いから大丈夫

でもなんとなく過ごしやすいなって感じる女友達なり先輩なりの好印象なところあげてみるとさ

姉のと一致すんだコレが


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:28:00.84 ID:4QC2lBSx0
「俺ねーちゃん好きだわぁ」

くらいの軽さで言ってみりゃええやん


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:28:15.31 ID:ApsRBkAC0
よし、告ってこいや


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:28:51.05 ID:tkO6CRJ90
爆発しろ死ねカス


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:29:23.99 ID:J6Pas1Uk0
勘違いかなーとか思ったけど違うんだわ
相手のこと考えるとドキドキしてつらいとかじゃないしいつもその人のこと考えるとかでもないんだ

ねえちゃんと一緒にいたい、ねえちゃんのワガママをかなえたい、ねえちゃんにくつろいでほしいみたいな
なんかまるっきり調教された弟っすわwwwwww


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:30:52.67 ID:J6Pas1Uk0
それくらいの軽さなら前に一度だけ言ったことある、すごい心臓バクバクした

完全にただ姉になついてるだけの弟じゃね?とか思ったけど
上に書いたように姉に一度彼氏ができたんだよ、大学行ってしばらくしたころにさ
そしたらすげー嫉妬するのもあんだけど寂しいし悲しいの


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:31:47.35 ID:d6SWwRg30
姉ちゃんも無意識に他の男を比較してしまうんじゃね
付き合い始めたら日常が崩れてお前と今迄通りに接し辛くなるから躊躇ってる部分もあるかもな


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:32:20.78 ID:J6Pas1Uk0
ただ嫉妬するだけならあれじゃん、持ち物とられた的なよくあるアレじゃん?
でもなんかさ、告白されたとか受けてみるとか聞くと弟であるいじょう
「マジで?www」とか「うはwwwwとうとうねえちゃんにも春がwwww」とか言わないといけないわけよ

いやーきついね
なにがきついって多分ねえちゃんは告白されたのが結構嬉しそうだったのがつらいね


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:33:22.86 ID:aglwC0aZ0
考えてみよう
その好きな人と家族であって血が繋がってるなんて
これ以上なにを求める


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:33:28.36 ID:J6Pas1Uk0
結局さ、そいつは女々しい性格だったって理由でねえちゃんに振られるんだけどね、そのさ、”そういう”事した?って話一度してさ
そんとき口でやったげたっていってたんだけどさ

ころしたいね


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:34:57.62 ID:J6Pas1Uk0
本当になんかわかんないけど一瞬でどす黒くなった、なんかわかんないものがはらん中満たした感じで
「ひゅーwwwwごっくんした?www」とかいったけど近くにあるもの壊しそうだったね
ちょっとなめてやってティッシュに出しただけって言ってて、安心と、なんかわかんないくろいのがでてきてさー


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:35:11.03 ID:d6SWwRg30
酔わせた勢いで言えば良い


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:35:47.96 ID:J6Pas1Uk0
それ以降やっぱ二次元いいわーみたいな話で盛り上がるから彼氏はいないみたいなんだ
でさ、この話があった後にやっぱ思ったんだよねー
俺ねえちゃん好きだなーって


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:36:21.21 ID:J6Pas1Uk0
好きだなーってなんか違うかな
なんかほんと
尽くしたいんだ
ねえちゃんが求めてくれたなら何でもできる気がするんだ


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:36:35.79 ID:4QC2lBSx0
ねーちゃん好きな自分認めてさ、事ある事に好き好き言っててみ間違いなくもっと仲良くなるから

マジレスすると恋愛関係に成ることは難しいだろうけど、家族愛を深めることは良いことだよ


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:38:41.00 ID:J6Pas1Uk0
>>40
そうだったらうれしいなあ、俺なんかを比較にして俺のほうがいいって切ってるなら

>>42
これ以上を求めたい、好きだといいたい、好きだと言われたい、抱きしめたい、手を握りたい、頭をなでたい、一緒に遊びたい、一緒にご飯を作りたい、
同じ家にまた住みたい、二人で一緒に些細なことで喧嘩したい、俺のほうから謝って許してもらいたい、すべてをささげたい50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:39:19.54 ID:J6Pas1Uk0
ねーちゃんすきでいいんかな、なんかなけてきたんだけど
なんでねーちゃんすきになったらいけないんかな


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:41:14.45 ID:J6Pas1Uk0
今も俺それなりに酒入ってるんだ、俺酒強くってさwwww
ビール二本とさwwww日本酒二合とさwwwwウォッカ200mlくらいとさwwww焼酎半パックくらいあけてさwwww

それでなんかさ、2chでこんな時間にへらへらしながら吐き出すくらいしかできねえんだあ、俺
これですらねえちゃんにばれて話してもらえなくなったら怖いなってすごいぼやかしてるしさあ


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:41:34.76 ID:4QC2lBSx0
今ねーちゃん一人暮らしなんか?


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:43:07.67 ID:J6Pas1Uk0
大学行って一人暮らししてる


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:46:41.49 ID:J6Pas1Uk0
今はなんかさ、二人とも学生だしさ、のんびりバイトしながら就職だるいわーとか話してるだけなんだけどさ
俺ね、もともとそういうの薄かったから結婚願望とかなかったんだよ
でもねえちゃんはあるみたいで、いつかいい人見つけて結婚できたらなとかいっててね
でも私好みわかんないしマジメに恋愛したことないからできるかわかんないなとか言ってたんだ


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:48:05.65 ID:iNekqh+pO
悪い事は言わん諦めろ
姉ちゃんはお前の事は弟としか思ってないよ。これからもずっと


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:49:01.28 ID:J6Pas1Uk0
まあさ、そんときにさ、いっておけばよかったねとはおもうよ
あのよくあるやつだ、「○○歳過ぎてもいい奴いなかったらあきらめて二人でちんたらやるか」みたいなさ
もちろんいえません、最近やっと気づいたけど俺本当に大事なことに関してすっげーヘタレです


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:51:56.69 ID:J6Pas1Uk0
だから結局ウチの血筋は姉ちゃんのほうでつながるなみたいなこと言って濁したんだけどね
いやだなーって
俺の姉ちゃんだぜ、世界の誰よりねえちゃんのこと好きなの俺だぜ、17年も同居して20年も近しい関係なんだぜ。
俺よりねえちゃんのことが分かってるやつなんて絶対、普段俺絶対って言わないんだけどさ、絶対にいないぜ。


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:53:59.49 ID:J6Pas1Uk0
そうなんだよね、ねえちゃんが俺のこと男として見てるなんてありえないんだよね

でもさ、なんかさ、たとえば仲のいい幼馴染とかいたとしてそいつが悪友みたいな関係でお互いに男女意識してないとしてもそれでも結婚した話とかあんじゃん
じゃあなんでねえちゃんはないんかなーって


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:55:29.61 ID:J6Pas1Uk0
血がつながってるのってそんなにだめかなーって
別に俺ねえちゃんとエロいことしたいわけでも無い…いやおっぱいはもんでみたいわ
まあちんkつっこみてえって猛烈になるわけじゃないし、ガキ欲しいわけでもないんだ
ただこうさ、ねえちゃんと俺は特別なきずなで結ばれてみたいな、ねえちゃんからも愛されてみたいなあーって


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:56:12.80 ID:W/P6dviBP
なにこの切ないスレ


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:56:53.78 ID:J6Pas1Uk0
なんで俺こんな語ってんだろうな気持ち悪いwwwwww
なんでねえちゃんが好きなんだろうな気持ち悪いwwww

あれなんだ、全部わかってんだ
世間体とかさ、親の気持ちとかさ、ねえちゃんの気持ちとかさ。
社会学上も、生物学上も好ましくないしって


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:58:49.67 ID:JttmwfwW0
世間一般の姉ってそんなかわいいのか・・・裏山だな
うちの姉なんて中・高と素行くてアレだったよ
俺が大学入ってすぐに姉が結婚したって聞いたんで、とりあえず10万渡しに行った。
デキ婚だったみたいなんで。
好きになる要素なんて1mmもなかった


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:58:57.67 ID:J6Pas1Uk0
でもさ、今まで気づかなかったんだけどさ、本とか映画見ても全然共感できなかったんだけどさ、
誰にダメっていわれても、自分で理解しても、いけないって分かってもさ

誰かのことをさ、本気で好きになるって本当とめられないなあーって

俺ね、結構自分のこと理性的というか、損得で考えられる人間だと思ってたんだよね
だめなんだ、ねえちゃんのこと好きだっていうの、なんかわかんねえんだwwwwww


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 04:59:15.56 ID:77xUP67Q0
わかるわ

姉ちゃんがどんな女より魅力的に見える


70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:01:23.03 ID:J6Pas1Uk0
それが普通なんだと思う、こんなにも自分の好きなねえちゃんがいてさ、そのねえちゃんと大学入っても仲良くできるなんてすげえラッキーなんだと思う
そのラッキーだけで済んで仲のいい姉弟までが普通の中の仲いいなんだろうな

俺さあ、好きな人がいるから!とかいって仕事やら環境やら財産やら捨てるのなんてあほらしーありえねー金のが大事だろーとかよく突っ込んでたんだけどアレだね
自分の思いが相手に伝わって、相手から好ましい返事が返ってくるって分かったなら財産どころか命すら惜しくないねこれ


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:02:26.60 ID:J6Pas1Uk0
顔だけならもっとなんだ、つくりのいい人だっているだろうし
俺に対してもっと献身的というか、大和撫子的な態度とってくれた奴だっていたんだ

でもさーwwwwwwおれさーwwwww


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:03:40.28 ID:iNekqh+pO
俺は妹がいるが月に一回蹴りあいの喧嘩するぞ
一回蹴りあってみ?ただのゴミ野郎と化すから


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:05:36.12 ID:J6Pas1Uk0
俺のことをこき使って、俺のことを邪険にして、俺に近寄るなって言って、そのくせ俺に雑用しろっていって、
病気すると弱気になって、俺がゼリ―食わせてやると喜んで、俺が病気した時はウザいっていうのにプリン食わせてくれて、
俺のこと面白いって言ってくれて、俺が気に入ってない俺自身のこと肯定してくれて、俺にやさしくしてくれて、俺になんかしらんけどBLいいよとか言ってきてその道におとして、
俺の好きなエロゲーとかFPSやってハマって話のってくれて、俺と夜までくだらない話してくれて、さ、
なんかさ
そういうねえちゃんがね、どんな人より魅力的で、言葉にならないけどつくしたくてさ


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:07:19.98 ID:J6Pas1Uk0
>>72
大丈夫、ちっさいころに飛び蹴りされてるし階段から落とされてるし風呂に沈められてるけど仲いいんだ
20年も一緒にいて殴り合いしないなんてないね

殴り合いしてさ、風呂に沈められてさ、最近になってからは部屋が汚いとかで超怒られてさ、髪型が微妙なんて理由でいちゃもんもつけられるけどさ
それでもかまってくれるんだ、俺にさ

こんな気持ち悪いこと考えてるクズの俺にだよ?


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:08:07.51 ID:J6Pas1Uk0
ああ、なんかさ、
ほんとにね、好きなんだ
まとまった文かけないしここまで意味の分からいこと書いてるけどね、
いっこだけ間違いない!っていえるのがあってね


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:08:38.24 ID:J6Pas1Uk0
Y、愛しています。


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:10:46.04 ID:J6Pas1Uk0
伝わってほしくないし、伝わらないように書いたし、伝わらないんだけどね。
愛しています、好きです、全てを捧げます、貴方が言うなら今すぐ其方まで行きます、貴方の為に何でもします。

貴方に愛しているといわれたいです。


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:11:19.10 ID:J6Pas1Uk0
なんてねえwwwwww
フィクションっすよwwwwwwww
我ながら気持ち悪いものかいたwwwwww
おされなSSですよー


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:11:40.43 ID:iNekqh+pO
お前めんどくせえんだよ
諦める気がないなら好きなら好きって言えよ

もしこのまま明日にでも姉ちゃんに彼氏ができたらお前一生後悔するぞ?だったら弾けて混ざって汚ねぇ花火になれよ


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:11:54.57 ID:J6Pas1Uk0
フィクション、ですよー


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:14:00.08 ID:J6Pas1Uk0
ねえちゃんは俺とそういう関係にならないほうが絶対幸せだし、
親だってそうだし、
周りの人だってそうなんだよ

なんか、かなしいよねえ

>>79
そうなんだ、面倒くさいんだよ俺
もっとバカならすぐに好きって言ってるかそもそもこんなのに気付かないか
もっと頭良ければこんなことにはならないはずなんだ
でもね、諦めたくないけど、ねえちゃん不幸せにもできないんだ
弟ってね、ねえちゃんになにかしろ!って言えないんだ


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:17:53.62 ID:J6Pas1Uk0
ねえちゃんさ、もしこれ見てたらさ、それでさ、うちの弟こんな気持ち悪い奴だって思ったとしてさ、
出来ればまじめに考えてほしいんだ
それでさ、もしよかったらさ、こんど話すときに茶化しながらでもいいからさ、お前って私のこと好きなのかって聞いてみてよ
俺自分から大事なことに一歩踏み出せないからさ
貴方にその一歩の為に手を引いてもらえたなら、その時にこそ、今度こそ言ってみますね、好きだって


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 05:18:30.27 ID:J6Pas1Uk0
おやすみなさい。
「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 05:35:26.57 ID:XTNuyCvUO
>>73-74で泣いた。
俺もそんな人が欲しかった。
そんなことしてもらえる人だったらよかったのになあ。

なんも言ってやれないが>>1おやすみなさい。


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 06:19:51.05 ID:/PJf7+6fO
姉は弟を人間として見てないのはガチ


90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 06:23:44.59 ID:IVPGz3MOO
俺も姉ちゃんの事好きなんだけど
血が繋がってなくても
戸籍上兄弟だと恋人同士になんの無理なの?


92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/19(水) 06:49:57.54 ID:ECttD/ToP
あーあー北川景子みたいな姉が欲しかったなあ。
おれより歳下だけど北川景子みたいな姉ちゃん欲しいわー。

AとB

アルファベット擬人化

A→スタンダードな正統派ヒロイン 黒
B→トークの上手いちょっと派手な子 ピンク

シバ/至上の可憐

「今度は誰に会うんですか」
「危険地観測所の研究員」
「なあに、それ」
「お前の手足を造った人だよ」
「ふうん」



乾いた大地に生える草木は奇跡的だと思われる。砂が纏わり付いてどこもかしこもザラザラするこの場所は精密機械を造るには不適切だろう。そこに生まれた危険地観測所もやはり奇跡的だ。

技術者はそこをオアシスと比喩した。

「オアシスって、何?」

レルムは無邪気に笑って尋ねた。

「砂漠の湧水」

俺の答えにレルムは真顔で頷いた。

水を飲む私の気持ちはそれを不思議そうに眺める君には理解できないだろう。汗が滲む傍から蒸発していくのを忌々しく思う俺のことは理解できないだろう。

レルムはそれを記憶し学習するものだ。

だから『今』は、それを知らない。

体内に侵入した異物のほとんどを自動的に除去できる彼の仕組みは人間より余程完璧だ。だからこそ人と器械とは違うことに気付く。

IMROが求めたのは宇宙の真理だった。人類の到達すべき場所。それは完全なるもの。

レルムがIMROの成果であるならば、テンマはIMROを肯定したことになる。俺はそうであることを望んでいた。テンマがIMROに所属していたことを肯定することを望んでいた。レルムが完全なる生命体であるならば、俺は過去の罪を顧みることもなかった。

レルムは、どうだ。

「その服、似合いますよ」

レルムは自分で言っておきながら照れたのか、えへへ、と笑った。

俺はこの地方の服を着ていた。要らないと言ったレルムの分も買って無理に着せた。風通しのよい生地で仕立てられていて、身体全体を直射日光から守るような造りになっている。

合理的な衣服だ。

しかし旅行者の気分で気恥ずかしくもある。

レルムもそう感じたのだろうか。

気の所為ではないだろう。レルムは日に日に表情が豊かになっている。俺の固い表情を学んでいる訳はないだろうから、街の人々との些細な会話や観察から学習しているらしい。

言葉では表現できない。

レルムは人間と同じなのか。

果たして未熟で不完全なるものなのか。

例えばレルムの人格にモデルがいるのなら忍耐と根気で実現できるプログラムもある。しかしこの子供は、これは、そんなものとは全く違う。次元が違う。

俺とレルムの何が違うのか。

俺にはもう分からない。

不可解。

「僕は、似合う?」

もし彼のその頬が赤くなっていたら、きっと俺は誤認した。

「似合うよ」

これはテンマが生み出した彼の子供だ。至上の可憐。造花の野花。長い時間の中で止まってしまった俺の内部にある何かを突き動かす衝動。テンマだけが俺の唯一だったのに。

レルムに代わるものは、もう無い。

レルムはきっと明日にでも喉の渇きを覚えてしまう。オアシスの意味を理解してしまう。その土地の服を必要ないと言っていた昨日のレルムは何処にも居ないように、明日には新しい人間性を身に付けるだろうから。

「ほら、出発するよ」

俺がそう言ってヘルメットを被るとレルムは砂を払って立ち上がった。砂はさらさらと落ちていく。

テンマ、何処に居るんだよ。

お前はなんてものを創り出したんだ。

レルムの人間らしさは俺達の歴史を否定するものだ。辿り着くべき場所を全く逆の方向へ導く存在だ。レルムの完璧なまでの不完全性がお前の意図するものなのか。

俺の心が動くんだ。

お前だけに反応すべき俺の心は今はレルムにもしっかり動かされる。

レルムの笑顔がきらきら煌めくことが恐い。

そう感じる自分の心が恐い。

「早く着くといいですね」

レルムが言った。

「ああ」

俺が答えた時、レルムが笑っていたらいいな、と思った。


【至上の可憐】

陰陽師/現代パロディ/骨抜き

※夢枕版 陰陽師
妄想設定
※晴明が好き過ぎる博雅




好きだと伝えたらどう思われるのだろうか。

「晴明」

俺が声を掛けたって、到底晴明の心を動かすことはできない。晴明は何時も平然として涼やかに微笑むだけで俺の助けなど必要としていない。

晴明に彼女が居たことを、俺は知らなかった。

「なあ、晴明」

俺はできる限りのんびりとした声で晴明を呼んだ。晴明は呼ぶ声には『呪』が在るのだと言った。

かかれ、と思ってかけられるものならば、今頃俺は晴明を骨抜きにしているに違いない。でも現実は違う。俺は只の高校生で、晴明は自立した大人で。俺は短慮で未熟な子供で、晴明は経験豊かな社会人で。

「もう夏に成るんだな」

仕方がないから俺は独り言の様に呟いた。

窓の外では通り雨に濡らされた草木が乾かず未だに水を湛えている。梅雨が明けた後の通り雨はどっさりと湿度を保ってからあっという間に降った。

真っ赤な夕焼けを素直に綺麗だとは思えなかった。どこか不気味で長く見ていたくはない。

「いや。もう夏に成ったのか」

溜め息が出るのも仕方がない。

気が重いのも学校が詰まらないのも晴明の家に居て息が詰まることがあるのも仕方ない。

仕方がないんだ、もう。

「何かあったのか」

晴明がやっと返事をした。

クソ。

晴明がその綺麗な目で俺を見るとさあ、飛び付きたくなるんだよね。二人きりの時にだけ見せるお前の砕けた態度は俺にとって二人の時間を最高に特別なものにしてくれるって分かってんのかな。

「無いよ」
「そうか」

無いから、辛いんだ。

「何も無い時に何も無いことが侘しいんだよ」
「ほう」
「同じようにさ、夏を迎えて草木が茂るのを見ると、俺はなんだか侘しくなるんだ」

生きているものは、いつか死ぬ。

いつか死ぬというのは、それは、誰も報われないということではないか。

晴明は静かに酒を一口飲んだ。

「彼女でもできたのか」

晴明は水滴の垂れるコップを布巾で拭いながら尋ねた。俺はそのしなやかな仕草に見惚れてしまう。その指が誰かに触れることを想像してしまう。

「何言ってんの」

なんでそうなるの。馬鹿じゃねえの。ふざけてんの。

彼女がいるのは晴明の方だ。

「何言ってんの」

俺は繰り返しそう言った。

「すまない、博雅。俺はお前を傷付けたか」
「違うよ」

俺はお前の言葉に怒ったのかもしれないよ。それが態度に出ていたのかもしれない。

それは傷付くのとは、違う。

晴明は事が深刻であると感じたのか真面目な顔で俺の方へ歩み寄った。その唇には微かな笑みが浮かんで赤く濡れているのだけれど、常とはどこか様子が違う。

晴明は俺のすぐ近くに座った。

「なんて顔してるんだ」
「は?」

ひょっとして、晴明は、俺が失恋したと思っているのではないか。失恋したのに『彼女でもできたのか』と尋ねられたので俺が傷付いたり怒ったりしていると感じたのではないか。

俺はとことん報われない男だ。

「俺、どんな顔してる?」

俺が尋ねると晴明はにやりと笑った。

「泣きそうな顔だよ」

そんな。

そうか。

そうかもしれない。

晴明の顔が近付いて俺の顔のすぐ目の前にあった。俺達が男と女だったら互いに愛していると目で語り合っているところだ。

「お前が人間じゃない気がしたんだ」

俺が言うと晴明は驚いたのか一瞬動きを止めてから不敵に笑った。

端整な顔立ちの晴明が笑うと堂々として不遜な態度に思われる。言い訳の積もりで言った自分の言葉のなかなかの的確さに我ながら感心だ。

「またそんなことを言ってくれるな」
「だってそう思ったんだ」
「お前がそう言うと、呪がかかってそう成ってしまうかもしれないよ」

呪で?

「それは困る!」

俺は思わず大きな声を出してしまった。晴明は面白そうににやりと笑んだ。切れ長の目が細められて弧を描いている。

なんで困るんだ。

それは。

それは。

「それは、お前の彼女を、悲しませてしまうから。だから……」

なんて言い訳だ、と俺は自分で自分が情けなくなった。しかし晴明の方は特にこれに就いて言及することはなかった。

晴明は俺から離れて壁に凭れ掛かった。

晴明の表情からその心の内を読み取ることは極めて困難で俺には到底できそうにない。

「博雅」
「なんだよ」
「保憲さんがまた一緒に飲もうと仰っていたよ」

保憲さん?

「加茂の?」
「ああ。お前のことを痛く気に入ったらしい」
「なんで」

晴明は立てた膝に片腕を預けた。引っ張られた袖の下から、日に焼けた俺の腕とは対照的な白磁のように白い腕が露出して目が奪われる。

「人を気に入るのに理由があるのか?」

ああ、それは。

そんなものは、無いだろうね。

魂が惹かれる。

理性なんて残らない程、熱く、惹かれて、目を奪われて、心を奪われて、魂の全てで熱望して、熱く、だから、ぐつぐつと焦燥する。

「俺がお前を好きなことにも、理由は無いよ、博雅」

晴明はなんという事もなげにそう言った。

なんてことを言うんだ。

俺は自分が赤面したのを自覚した。日焼けした黒い顔でもきっと晴明には分かってしまったかと思うと余計に恥ずかしくなる。

「なんだ。照れたのか」

晴明の追撃に更に赤くなってしまう。

「保憲さんと、いつ会うの」

俺が話しを逸らしても晴明が面白そうに俺の赤い顔を眺めていることには変わりない。意識するなと思えば思う程、晴明に見られている気がして落ち着かなくなる。

「俺は仕事が忙しくて、暫く時間が取れないんだ。お前、保憲さんと二人でもいいか」
「それじゃあ、向こうが詰まらないだろう」

なんで俺が保憲さんと二人で。

晴明は口元に笑みを浮かべたまま腕で頬杖を付いた。

「お前と居るのに、詰まらないことはないよ」

赤面。

赤面の上からまた赤面。

「俺は……」

俺だって、晴明が居ないと詰まらない、と言えたら。晴明のように、なんてことのない風に、言えたら、世界は変わるのだろうか。

「俺はお前を信じているよ。お前が信頼する人なら、俺は、会うのに嫌ってことはないよ」

それは丸で。

『呪』に掛けられたみたいに。

俺は晴明が好きだ。この失礼極まりない人間離れした男が好きだ。博識で冷静で判断力に優れたこの男に惚れている。




【骨抜き】
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2013年06月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
アーカイブ