笠岡市を拠点に福山、井原市などで路線バス事業を展開する井笠鉄道は2012年10月12日、今月末でバス事業を廃止することを明らかにした。
人口減や長引く不況で運賃収入が減り、事業の継続が困難になったため。
76系統のうち一部の主要路線の運行は、11月1日から中国バス(福山市)などに要請している。
どの路線が継続されるかは週明けに明らかにされる見通しで、利用者の間に不安が広がっている。
12日付で中国運輸局岡山支局に事業廃止届を提出した。
笠岡市内の本社で会見した関藤篤志社長は「地域の皆さまに不便、ご迷惑をお掛けする」と陳謝。
2012年3月末時点の負債総額は約32億3600万円としたうえで「赤字経営が10年以上続き、自主再建を断念せざるを得なかった」と説明した。
中国運輸局によると、全国の乗り合いバス事業者の7割が赤字経営。
中国地方では、今年4月に呉市営バスが広島電鉄(広島市中区)に全路線の運行を移管した。
2006年12月には、中国バスが両備バス(岡山市)の全額出資する新会社として再スタートするなどの動きがあった。
井笠鉄道によると、福山―広島など高速バス3路線も中国バスに事業継続を打診。
貸し切りバス事業は、中国バスと北振バス(岡山県矢掛町)に要請した。
全従業員158人には同日、月末で解雇すると通知した。
中国バスや北振バスに再雇用を依頼している。
(中國新聞、2012年10月13日)
岡山県西部と福山市で路線バスを運行する井笠鉄道は2012年10月12日、経営不振によって今月末でバス事業を廃止することを決め、中国運輸局岡山運輸支局に事業廃止届を提出した。
同社は自主再建を断念し、会社の清算手続きに入る。
全76路線(高速バス5路線含む)のうち主要路線は11月から来年3月までは道路運送法に基づく臨時措置として、両備グループの中国バス(福山市多治米町)に引き継ぎを要請しており、同社も応じる方向。
具体的な継続路線は今後詰めるが、廃止や減便となる路線が出るのは避けられないとみられる。
井原市と浅口市の循環バスは北振バス(岡山県矢掛町)が運行を引き継ぐ。
井笠鉄道の路線バスはピークの1967年度には1575万人の利用があった。しかし、マイカー普及や沿線の過疎化などで11年度は213万4000人まで低下。
売り上げに当たる営業収益は同年度で9億200万円で、国や自治体から2億1910万円の補助を受けたものの、4200万円の最終赤字を計上した。
負債総額は同年度末で約32億33600万円。
会見した関藤社長は「地域の公共交通を守りたいとの一心で事業を続けてきたが、これ以上は難しいと判断した。利用者や従業員に迷惑を掛けることになり大変申し訳ない」と話した。
嘱託を含む従業員158人の雇用継続も中国バスなどに依頼している。
(山陽新聞、2012年10月12日)