(本当に僕は運が無い…)

ビートルのコクピットでハヤタは呟く。

将来のキャップ候補としての研修の為、科特隊ニューヨーク支部での日程も全て終わり翌日には帰国する予定だった。

ゼットンを辛くも退けて以降、怪獣の襲来は途切れていた。
それがこのタイミングで現れたのだ。しかも…科特隊の最も古いファイルに記載された、そして科特隊が結成される切っ掛けの怪獣。

(ゴジラ…何故今なんだ!)
上陸こそしていないもののこのままでは時間の問題だ。
幾度も攻撃を仕掛けているものの効いている様子は無い。

グルルルルル…

低い唸りと共に背ビレが輝く。

カッ!!

目映い光線が放たれる!!

僚機が散らばりながら避ける。かすっただけでも甚大な被害をもたらす攻撃だ。
「クソッ!」

自分に力が無いのが情けなかった。と同時にそんな考え方をする自分も情けなかった。
ウルトラマンに頼るわけにはいかない。もはやその力は無いのだ。


…しかし。

助けの手は差しのべられた。それまでこちらの攻撃を気にも止めなかったゴジラの歩みを止めたのは「彼」だった。

「あれが…そうか、彼か!」
青いコスチュームに赤いマントを翻しゴジラの眼前に立ち塞がる男。
その胸にはSの文字

―スーパーマンだ。


「君にはお帰り頂こう!」

そう言うとゴジラに挑み掛かる。緩慢な動きのゴジラでは彼の動きには着いていけない。その間にもパンチを浴びせ、目からビームを放ち進行方向を変えようと試みる。


見とれていた…のが失敗だった。


白い炎がビートルの翼を掠めていた。